決断の時 ~その2
春休み前、「3つの密」を避けることが大切と言われても、決して広くはない事業所の中で、食事や休息時にさえ子どもたちの距離を十分に保つことができず、かといって外出をプログラムに組み入れることもできず、悩んだ末に向日市の障がい者支援課にSOSを出しました。新型コロナウイルス感染拡大によって閉鎖している市の公共施設の一室を、せめて食事時間だけでも借りられないかと打診してみたのです。
他事業所さんも工夫して何とか耐えておられる中、からふるだけがこんなお願いをしていいものかと迷いましたが、子どもたちの安全のためにできることがあれば、非常識だといわれても批判されても、ダメもとで頼んでみようと決心した次第です。何もしないよりも何かしようと思って。
まさか行政が動いてくれるとは思わなかったのですが、「からふるさんはコロナで大変な中、医療的ケアのある子や障がいの重い子どもたちを受け入れている事業所なので、市としても何とかしたい」と言っていただきました。そして役所の方々がいろいろ奔走してくださって、事業所から一番近い、閉館中の老人福祉センターの1室を特例的に貸していただけることになったのです。
定員を超えるご利用がある日のみ、利用させていただくことにしたのですが、結局本当に利用させていただいたのは1日だけでした。当日支援中に発熱して早退した子がいたのですが、広い施設を利用させていただいていたおかげで、一緒に利用していた子は別の場所で過ごすこともできましたし、からふるに残っていた子どもたちとは一切接触せずに済みました。休館中とはいえ老人福祉センターにはご心配をおかけしましたが、早退した子は夜には熱も下がり、念のため経過観察してもらいましたがその後何事もなくほっとしました。
また向日市には社会福祉会館も借りられるように準備していただいていました。結局お借りせずに乗り越えられましたが…
関係者の皆様、本当に助かりました。何より、非常事態とはいえ特例を認めていただいたその英断がありがたかったです。
奔走していただいた障がい者支援課の課長さんは4月に異動されました。最後に「行政はいろんな制約があって、なんでこんなことができないんだと思うこともあるでしょうけど、こんなこと無理だろうと思うことが意外とできることもあるんです。だからとにかく何でも言ってみてください。できないこともあると思いますけど、できることはないか考えますから」と言っていただきました。
これまで行政の壁に阻まれて、心折られることがたくさんありましたが、それも吹き飛ぶような言葉でした。ありがとうございました。
乙訓地域は面積も小さく、行政や関係機関と「顔の見える関係」を取りやすい地域です。からふるもたくさんの関係者に支えてもらってきました。だからこそ、先の見えないコロナとの戦いですが、どんな痛手を受けようとも早めに対処しようと決断しました。
保護者の皆様と子どもたち、そして職員にもしんどい思いをさせることになりますが、今の段階でこの決断をしてよかったと言っていただけるように、やることはまだまだたくさんあります。しばらく一緒に戦ってください!